臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
私が何度か唾を飲み込んだ頃,澪が口を開く。



「みおはあいつのこと,好きだったの?」

「菖?」



突然の質問に,私は素直に狼狽える。

澪が菖を気にする理由が分からないからだ。

その上もう1月も経過している。

私が質問で返すと,澪は顔を歪めた。

最近こんな顔ばかり見ている気がした。

すっ…は,と澪が呼吸を整えて,私に向き直る。



「みおが呼び捨てさせて,呼び捨てするのは,あいつが特別だから? 俺はみおが誰かと付き合ってたなんて知らなかった」

ーずっと,見てたのに。



それは,そう。

私が半無意識的に隠してたから。



「中学の時,友達とって出掛けたのは,全部菖だった。だけど,恋愛的な要素が私に欠けてたから,私が終わらせた」




< 135 / 262 >

この作品をシェア

pagetop