臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
意識としては特別だったけど,私の気持ちが友達とあまり変わらなかったから,気付かれなかったんだと思う。

ここまで答える必要はないはずなのに,聞かれるままに私は答えていた。



「あの人は,みおに触れた?」



不安にまみれた澪の声が,私の鼓膜を揺らす。

どうして澪がそこまで感情を乱すのか,私には理解できない。



「手を,繋いだだけ」



何かが起ころうとしている気配がした。

それはきっと,私がこの世で1番恐れていること。



「俺が,なんて思ったか分かる?」

「分かるわけ,ない」

「みお,目,逸らさないで」



そんなこと言われても。

嫌だ,本当なら今すぐこの場を離れたいのだ。

最近の私はなんだか,本当にこんなことばかり。
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