臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
____________________

ここ,どこ……

いつの間にか知らない場所に来ていて,私はようやく冷静になる。

涙だけが止まらない。

澪を,置いてきてしまった。

澪は今,何をしてるんだろう。

スマホも何も持たずに来てしまった。

どうやって帰ろう。

違う,今考えるのは,そんなことじゃない。

私の目には,周りの人も景色も,もうなにも映っていなかった。

澪が,私を好き?

そんなわけない,と頭が言う。

それではだめだと,心が叫ぶ。

何故だめなのか,私にも分からない。

私は澪の気持ちよりも周りの目を気にしているのだろうか?

それもある。けれど,私には澪より大切なものなどないはずだ。

そもそも何かが違う。



< 139 / 262 >

この作品をシェア

pagetop