臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。


席を立とうとした私は,確かに…と少々恥ずかしい思いをしながら座り直した。



「いきなりで驚いちゃったんじゃない? それとも何か思い当たること,ある?」



聞かれてもう一度考えるものの,ない。

ふるふると首をふると,礼夢くんもそれだけで理解してくれる。

私はまず自分の中で纏めてからにしようと考えた。

礼夢くんなら待っててくれると思ったから。

そのため,話題を1度変えようと試みる。



「ね,ねぇ。礼夢くんは,どうやって澪と知り合ったの?」



話を逸らす目的で訊いたものの,口にだしてみると案外本気で気になってきた。

澪は自分から人と関わるタイプではないから。

もちろん,友達はすごく多い方だとは思うけど,自分から誰かのもとに行くのはあまりないと思う。

でも,礼夢くん。それから,海くんや夾くんは違った。
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