臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
? ショック? 

それはそうだったけど,お義母さんの所に?

なんの話か分からない。

そもそもあの日の事は憶えてないのだから。

ただ,数日後に行われたお通夜と葬儀の場で,実子の私が1番多くのあわれみを受けたのだけは憶えている。

今だから思うのは,何故お通夜が数日後に行われたのだろうと言うことだけ。

もしかしたら,その時に熱を出していたのかもしれない。

小6に上がる前の,割りと最近の事を覚えてないなんて,おかしいから。

ま,いいや。

ー私には,もう血の繋がった両親など,いない。

お母さんは私がものすごく小さい時に病死して,覚えてもない。

お父さんは,事故死,だったと聞いている。

だけど,寂しくはない。

亡くなってしまったことには,今にも悲しく思うことがあるけれど,何度も思い出すけれ
ど。



「今,丁度具を買ってきたとこなんだよ。お粥作るから待ってなさい。食べれそう?」

「うん……」



寧ろ出来るまで待てるか分からないくらい。

ぐうぐうとなるお腹を,私はゆっくりと撫でた。

食卓に座る。

私には,まだ2人の家族がいるから。
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