臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
つまり,私を彼女にしたい?
返事なんてどっちでもいいけど,振り向かせたいってこと?
ぽわぽわぽわと上がっていく体温。
「~っ」
顔に力の入った今の顔は,そうとうおかしな事になっているに違いない。
「くっ…くはっ。あははっ何その顔。ちょー真っ赤。みおちゃん,照れたらそんな顔すんの?」
「うっうるさいな。…見ないでよ……」
「うん。口悪いみおちゃんも可愛いよ」
なんなの,その顔。
ふにゃふにゃした顔しちゃって。
きっと礼夢くんは,そうやって色んな女の子を落としてきたに違いない。
「でも」
ふわっとかかる影。
私は驚いて,ゆっくり開いた目で見上げる。
包み込むような,危機感を全く抱かせない動き。
「見ないで。なんて言われたら,見たくなるのが男じゃん?」
ぶわっと私に届いたのはなんであろうか。
きっと,色気と呼ばれる類いのもの。
私の瞳を覗き込む礼夢くんは,ちゃっかり片手で私の頬を包んでいる。
「……ぁ」
「熱いね,顔。まだ辛い?」
瞳を揺らす私に,礼夢くんはカラリと態度を変えた。