臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
答えやすい質問に,私もうんと1つ頷く。



「ちょっとだけ,だよ」



心配するほどではないと,付け足す。

そう言えば,目の前の礼夢くんの顔がふわりとした。



「そっか。俺,そう言えばプリン買ってきたんだよね~」



ぱちくりと開く私の目。



「…くれるの?」



わざわざ買ってきてくれたの? と言う気持ちが大きい。



「コンビニよってさ,なんか食べたいなぁと思ったから澪ちゃんにあげようと思って」



? 

熱で頭が回って無いのだろうか。



「ん,ごめんどうゆうこと? 礼夢くんが食べたくて,私にくれる?」

「うん。自分の大事なものってさ,一周回って大事な子にあげたくなったりしない? ちっちゃいときとか無かった? そうゆうの」



大事な子…だって。

やっぱり,信じられないし,慣れない。



……



「あった,かもしれないけど……。ありがと」



何を言っても,負けそうな気がした。
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