臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「礼夢と約束したから,俺を拒否するの」

「ちがっ…何言ってるの,澪。礼夢くんは関係ない」



澪が言ってるのは,きっとあの日のこと。

確かにあの時,私は否定できないくらい明確に,澪を拒否して突き放した。

だけど…そこに礼夢くんは関係ない。

だって,私は



「私は…!」「じゃあ,誰と何の約束をしたの」



ガバッと離れていく大きな背中。

息を飲む私の瞳には,ぐにゃりと歪んだ澪の顔が映っている。

やけに拘る『約束』と言う言葉。

もしかして,私と澪の話は違う?

ひどくすれ違っているような,歯がゆい感覚がした。



「みおが,言ったんでしょ……約束したんだって」
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