臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
『あー? 今なんかでけぇ音しなかった? つか誰か電話鳴ってね?』

『あ? まじじゃん。因みに俺じゃねぇ』


そんな声と共に,玄関からなる着信音。

驚いて澪を見上げると,澪の耳元にはスマホが当てられていた。



『もしも……』

「悪いけど,なんにも聞かずに今すぐ出てけ」

『はぁあ??』



なんとも雑な対応に,私は電話相手と同じであろう表情を浮かべる。

義姉として,大丈夫なのだろうかと心配になった。



「15分でいいから。じゃあな」



電話はそんな一方的な言葉と共にピッと切れる。

玄関から聞こえる大ブーイング。



『女か??!』

『はぁあ??? 聞いてねぇぞおい。羨ましすぎか!』



ひとしきり騒いだあと,彼らは大人しく家を出た。
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