臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「はぁ……」


クローゼットっから脱出した澪は,心の底から疲れましたと言う声を出してその場にしゃがみこむ。



「あ,あの。澪……」

「いーから。自分が今どんな格好してるのか思い出して」

「ご,ごめ…」

「そうゆーのもいらない。…俺こそごめん。クローゼット俺まで入る必要無かったし。隠さなきゃと思って…。ほら,早く着替えて」



俯いたまま,髪も乾かしてと急かす澪は,同い年とはいえ私と立場が逆転している。

姉の名を捨て,お兄ちゃんと呼んだ方が良いのだろうか……?

あまりに申し訳なくて,私は脱衣所へと急いで帰った。

もちろん髪も乾かす。

恥ずかしい。本当に。

穴があったら入りたいとはこのこと。

ドライヤーの電源を切って,片手で顔を覆う。 

もう澪に合わす顔がない。
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