臆病な私に，君の溺愛は甘過ぎる。

私の怒気に気付いたのか，礼夢くんは直ぐに，ごめんごめんとイマイチ真意の分からない謝罪を落とす。



「でも……無理だよ」



次に私と合った目は，もう笑ってない。



「澪がみおちゃんを諦めるなんて」

「なんで……だけど！」

「叶うと分かってる恋を，手放す男がどこにいる？」



押し黙った私に，礼夢くんはまた，吹き出すように笑う。



「みおちゃん，あいつのこと，振れないでしょ」

「…そんなこと」

「前も，澪の前で泣いたんでしょ。外でてからじゃなくて」



なんで分かるの。

何でもお見通しみたいに。

だけど，もう。



「もう，泣かない」

「そう，あははっでも多分無理だね。それに，泣かなくっても一緒だよ」