臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「……何が」



ムカッと来ても,どうも切り返せる言葉がない。



「みおちゃんの嘘に,澪が気付かないわけ無いんだから」

「……」



私はもともと分かりやすい方だし,澪が相手なら尚更。

でも,だったとして,私の気持ちは変わらない。



「じゃあ,どうすればいいの…!」



奥歯に力を込めた私の頭に,ポフリと大きな手が乗せられる。



「全力で澪を拒否するか,本当に澪を好きじゃなくなれば良い」



ま,前半のだと家族ですら無くなっちゃうけどね,と,礼夢くんはカラカラと笑って,私は青ざめた。

それは,あらゆる意味で困る。

それに,澪を好きじゃ無くなる……

それが出来たなら今までだって。

まだ,きっと時間がかかる。

その時,私にかかる影が大きく揺れた気がした。

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