臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
顔を上げると,いつの間にか礼夢くんが,前ではなく私を見ている。



「俺と付き合う? みおちゃん」



礼夢くんは人差し指を口元に当てて,ニッとそんなことを言った。

私は驚いて,声も発っせない。

……



「え?」

「え? て」



礼夢くんだけが,楽しそうに笑っている。



「なんで?」 

「好きだから,と言いたい所だけど……新しい恋には,相手が必要じゃん?」

「新しい恋?」



私は礼夢くんの言葉に,眉を寄せた。

澪を好きじゃ無くなるのに,新しい恋は必要無い。

そりゃ,いつかは…とは思うけど。



「だってそうじゃなきゃ,みおちゃんは良くても,澪が取り残される。追えば済む話なら,あいつは諦めない」
< 182 / 262 >

この作品をシェア

pagetop