臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「あー! もういいでしょ?! 礼夢くん,休憩!!」



私が根をあげたのは,それから暫くして。



「あははっごめんごめん。みおちゃんがあまりに頑張るから」



言いながら,礼夢くんはまだ笑っている。

う~悔しい。

肩を落とした私は,礼夢くんの指差す岩場を目指して歩いた。

この公園には,小さな川が流れている。

礼夢くんは息の1つも上がってない。

……もう笑わなくてもいいでしょ。



「いつまで笑ってるの」

「ごめんね,ほら怒んないで」



不貞腐れる私の目の前で,礼夢くんが片手を振った。



「ジュース奢ってあげるから」



礼夢くんの眉を下げた顔をみて,私は



「ならいいけど」



と言った。
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