臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
それなのに



「あ,いいんだ」



とおどけるのは礼夢くん。



「もうしらない! やっぱりやめる!」



私は礼夢くんを置いて,すたすたと歩いた。

いいサイズの岩を見つけて腰を掛ける。

その隣に,礼夢くんも座った。



「あ…花が咲いてる」



その傍には,沢山の花が植えられていた。



「ど? 気晴らしになった?」

「えっ」



私が振り向いた礼夢くんは,もう笑ってない。

ただひたすらに優しい顔をしていて,私は戸惑う。

この人,本当に私のこと好きなんだ…

今さらで,今さらで。

だけど嫌な感じは全くなくて



「キャパオーバーになられても困るからね,今日はこれくらいが丁度いいんじゃない?」


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