臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「…変なの」

「? 何か言った?」

「言ってない」



抱えた膝に当てる頬が,熱い。

なんでこんなにも,泣きそうになるんだろう。



「っおし,帰る?」

「…うん」



日が落ちてく。

夕飯に間に合うようにしなきゃ。

私は少しぼーっとしながら答えた。



「あれ? 生返事。もしかしてみおちゃん。もっと俺といたい?」

「やっ…!? そうゆうつもりじゃ…!」

「あははっ必死すぎ。ほら,帰るよ」



あまりに自然に差し出されて,私はその手を取ってしまいそうになった。

慌ててひっこめる。



「残念」



そんな私に,礼夢くんはべっと舌を出して目を細めた。



「もうっからかってると…」

「まさか」



肩をすくめた礼夢くんが私の手をとる。

そして,耳元に顔を寄せた。
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