臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。


澪のプレーは,なんでサッカー部に入らなかったのか分からないくらい,早くて,力強くて,誰よりも格好いい。

そう。誰よりも。

チャイムがなって,誰かがサッカーボールを足で止める。

その時ふと,澪の綺麗な顔がこちらを向いた。

目があった……ような気がする。

いつもの,勘違い。もしくは,なんでいつも見てるんだろうって思われてるのかもしれない。

未だになにも言われてないのが,唯一の救いだった。

ふいと視線をそらし,高鳴る胸を押さえるのもつかの間。

澪の視線を奪うようにして誰かが話しかける。

ーツキン。

身体のどこかで,氷が張った様な音がした。

澪は慣れたように返事をして,社交的な笑みを浮かべる。

そして,澪が何かを言うと,その"女の子“ははしゃぐように笑った。
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