臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「夜ごはん…」



どうする?

少し迷って尋ねると,澪は優しく微笑んだ。



「みおの好きな,からあげ」

「作ってくれたの?!」



しかも私の好きなって…

明らかに私を意識して作ってくれてる。

自分の好きなもの,澪なら簡単に作れたのに…

嬉しい。

頬がゆるゆると上がる。



「…ありがとう。冷める前に食べよっか」



笑顔を向けると,澪も笑ってくれた。



「みお,最近元気なかったから。せめて」



悩みの種は澪だけど。

それを分かって言う澪の心遣いが,今はありがたい。



「食べよっか」



リビングから,温かい匂いがするから。

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