臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「好きだよ,みお。今日は死ぬ程甘やかしてあげる」

「いい,いい! いらない大丈夫」

「聞かなかったことにするとか,なしだから。みおが素直になるまで,伝え続けて甘やかす」



なんで言いたい事が分かるの?

甘やかすってなに?

私のためを考えられたご飯があって,待っててくれて,2人揃って食べられる。

もう,貰うものなんて無い。



「お風呂,沸いてる」

「いっ行ってくる」



ガタガタ不自然に立ち上がって,私は駆け出した。

座っているだけの澪の他に,人はいない。

自分が立てる音が,妙に恥ずかしかった。

着替えのセットを持って,洗面所に向かう。



「~っつ…」



顔が,熱い。

鏡に映る自分をみた私の赤みは,さらに加速した。

私,澪の前でこんな顔をしてたの?
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