臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
こんなのまるで,全身で好きだと言っているようなもの。

口にするよりよっぽど恥ずかしい。

いつから…

もしかしたら,もうずっと前からなのかもしれない。

そう思うとあまりに居たたまれなくて,顔から火が出そうだった。

そりゃ澪にも気付かれると言うもの。

澪はこれを自覚させるために,私をここへ誘導したのかもしれなかった。

のぼせ頭に熱いお風呂。

私はふらふらとした足取りで,洗面所を後にした。



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「みお,髪」

「…今,乾かしてるもん」



重たいし,時間かかるし,ドライヤーって好きじゃない。

私が澪の言葉を正確に汲み取って目をそらすと,澪が笑った。
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