臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
やがて,心臓が音を立てる時間が終わって。

場を沈黙が支配していた。

堪えられなくなった私は,リモコンを取りに,TVへと向かう。



「今日,なんで遅かったの?」



ぽつぽつとした,澪の声。




「礼,夢くんに,誘われて」



後ろで,澪の息を飲む声が聞こえた。



「で,でも! バトミントン,バトミントンしただけ!」



あれ,私,なんでこんなに必死になって。

弁解する必要もない。

必死になる理由も,やましいこともない。

寧ろ,勘違いしてくれるなら,今の私には丁度いいくらいで。

澪が立ち上がる。

私は咄嗟に振り向いて,TVを避けるように距離を置いた。

そこにあるのは壁だけ。

しまっ…
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