臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「ねぇみお。ちゃんと俺の事,みて」



どこか芯のある瞳が,私を捉える。

見透かされたような焦燥と,素直な気持ちに,ドキリと心臓が波立った。

見てるよ,いつだって。

誰よりも。

意図せず,沸き上がる気持ち。

口に出しそうになって,初めて自覚した。

だめだ,こんなのじゃ。

不覚にも泣きそうになって,それを澪に悟られる。



「…みお,顔ちょっと傾けて」



私は澪の言う通り,右側に頭を傾けた。

また,澪の頭が近づく。

私はなんとなく,さっきとは違うことを察知した。

だけど何が起こるかなんて理解できるわけもなく,ほんの一瞬戸惑っただけ。

このままだと,肩に当たるのは。

額より,少し下。

…澪?
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