臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「みお,声,抑えて。だめな事までしそうになる」



既に,してない?!?

私は染まった頬をこくこくと揺らす。

澪がもう一度近づいて,私は右手の甲を唇に当てた。

澪の手が首筋に添えられて,次はそこなのだと知る。

恥ずかしくて,意味が分からなくて,溜まった涙が溢れそうになった。

右手の甲の隙間から,「はー…っふー…っ」
と熱い息が漏れる。

きっと今測ったなら,私の心拍数は以上な数値を叩き出しただろう。

澪が最初と同じ作業を,私の首筋で2度繰り返す。

私はその度に体を震わせた。

頭が真っ白で,何も考えられない。

ただ,どこかくすぐったくて,勝手に出ていこうとする声を,必死に抑えていた。
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