臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
1枚1枚ゆっくり捲ってく。

澪は何も言わないものの,どこか楽しそうにしていた。

1人ずつの写真が続いて,やがてそれぞれの家族写真になる。

この人が,2人(··)の……

澪が生まれた時は既に,澪の両親は離婚していた。

だから,ほんの少しお腹の大きいお義母さんと,父親らしき人のツーショット。

きっと記念にと撮ったのだろう。

なんだか冴えない顔をしている。

何となくその理由が分かってしまって,私は少しだけ気を落とした。



「わっ」



お母さん!

贔屓目抜いて綺麗な女性が私を抱いている。

私はとても不思議な気持ちになって,写真をまじまじと見た。

この時はまだ病気になんておかされず,元気だったみたい。



「ね,澪…」

「じゃない? みおのお母さんだと思う」

「そうだよね…!」



もしかしたら,違う人かも,なんて思ってしまって。

まっさらな黒髪のロング。

エクボが,少し顔を幼く見せている。

この人が…
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