臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
私はいらなかったかと振り返り,呼びに戻ろうとした私。
そんな私を,礼夢くんは腕を掴んで制止する。
「え?」
「澪じゃないよ。澪ならここに来るまでの道のりで声かけれたしね」
「あれ,私に用なの?」
私が驚いて聞くと,礼夢くんは苦笑いを返した。
今,私何か変な事言った?
「デートの誘いに来たんだよ。昨日,またねって約束したでしょ?」
あれを約束と呼べるのかは分からないけど…
「だけど昨日…」
そう,まだ昨日の話だ。
せめて,休日までは何もないと思ってた。
私は戸惑って,心がそのまま言葉になる。
「別に毎日誘おうってわけじゃないよ? 今日どう? ってだけ。見たがってた映画,まだ見てないんじゃない?」