臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。




私がそんな姿を見せたからか,礼夢くんは少し弱々しい,普段見せないような姿をさらす。

さながら,捨てられそうな子犬。

きゅっと胸が締め付けられる思いがした。

澪じゃなきゃダメな理由。

逆に礼夢くんじゃダメな理由。

私だって,何度も考えた。

でも考えれば考えるほど,礼夢くんを否定する言葉が私には見つからなくて。

今までのどれを思い出しても,良い思いでしかなくて。

余計に混乱した。

だけど



「ごめん。俺ちょーめんどいこといっ…」

「私,やっぱり礼夢くんの事好きなんだよ」



私の放った言葉に,礼夢くんは目を丸くする。

ちゃんと答えるから,そんな風に笑って誤魔化してくれなくてもいいよ。
< 230 / 262 >

この作品をシェア

pagetop