臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「もう行っていいよ。俺,そろそろ本気で泣きそうだから。それに,ずっとみおがそこにいると,惜しくて手放せなくなる」
もう,ちょっと泣いてるのに。
まだ泣きそうになるほど,私の事を好きでいてくれたんだ。
こんな,私を。
「…うん」
私からも,ゆっくり後ろに下がって,背を向けた。
ゆっくり歩きだして,やがて走り出す。
公園を出る直前,やっぱり言い足りなくて,一瞬だけ礼夢くんの方に向き直る。
礼夢くんはやっぱり私を見送ってくれていて,目を丸くした。
なんだか可笑しくて,私は微笑んだ後,一呼吸置く。
その一呼吸は,お互いに必要な時間だった。