臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
横抱きなんて,意味が分からない。

あったらあったでおかしいけど,こんなこと,されたこともない。

私は恥ずかしさと声を圧し殺して,顔を隠すように,澪の首にしがみついた。



「みお,かわいい。今の顔,誰にも見せたくない」



私は驚いて,パッと手を離す。

反動で落ちそうになって慌てると,同じく焦った澪がぎゅっと私を抱き締めた。

ひゃ,ぁ…ちかい。

さっきから,ずっとなのに…

ひゃーひゃーひーひーと心の中で1人騒いでいると,澪が



「危ないから,ちゃんと掴まってて」



と言った。

それは私にとってあんまりに思えて,私は思わず反抗する。



「そ,それは!」

「それは?」

「れ,澪が……私の近くでしゃべるから……」
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