臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
言ったあと,ハッとした私。

なんか今,すっごく恥ずかしい事を言ったような……



「俺のせいなの? へー,みおって耳弱いんだ」



楽しそうな声色の澪に,私は心の中で反撃する。

それは! 澪の声が格好いいからで!

へっ変なこと言うからでしょ?!

葛藤しながら,ハタと我に帰る。



「れ,澪? もしかしてこのまま帰るの?」



そろそろ顔見知りも現れるだろう。

家に近くなっていくのが,景色から分かる。



「んーん。それもいいけど,もう人もいないし,下りていいよ」

「わっ」



ゆっくりと下ろされ,私の足は地面を掴む。

ほっとしていると,澪の手の甲が,私に当たった。
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