臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「心配,だったんだろうね。お父さんの事だから,私と(れい)を信用してなかったわけじゃない」



ー澪が離れていかないように。

『これから先,疎外感を感じることも,あると,思う』

『家族だから』



「『『4年も,家族でいられなくて…ごめん』」

「え」



あの日の,言葉。



「バカだなぁと,思ったよ。そんなの気にしなくても,私は幸せだった。ただどうしても,それだけの月日では澪が気にするかもしれないと思ったんだろうね」

『家族だから』



お父さんが,そう念を押した。

血の繋がり,それは確かに大きなものだ。

お義母さんは分け隔てなく愛情をくれた。

だから,私は孤独も感じず,真っ直ぐ育った。

でもやっぱり…先立つ者としては,心配もあっただろう。

私はまだ,小学6年だった。

あれは本当に,ただ純粋に。

私だけに向けられた言葉だった。

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