臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
何処をとっても可愛い女の子。

身長はそんなに低くないにも関わらず,どこか小さく見えて,見るもの全ての庇護欲を煽る。

そんな雫と知り合ったのは確か,1年の5月。

新生活に慣れてきた,そんな時。

桜はもう散っていた。

そんな時に,隣のクラスだった雫が私に話しかけてきたんだ。



『もう誰もいないね。私着替えるの遅いから……』



体育前の移動中の事。

雫の可愛さに目を奪われて,話しかけられたことにとても驚いたのを覚えている。



『あ,そうだ! せっかくだし友達になってよ!』



雫はそうして,キラキラとした瞳で,私達に友達という関係を作った。

……こうなればもう,一言話しただけの人とは,到底言えなくなるから。
< 5 / 262 >

この作品をシェア

pagetop