臆病な私に，君の溺愛は甘過ぎる。
それから1ヶ月，私達は友達としてよく一緒にいた。

でも，私は分かってた。

あの日，雫に声をかけられたのは偶然でもなんでもないこと。

最初から澪への架け橋にするつもりで声をかれられた事。

雫はハッキリとは口にしなかったけど，言動の節々からそれが伝わってきた。

だからと言って，私は雫に何か言うことはできない。

それは私が澪のことを好きだと言うのと同義であるし……なにより。

雫は，優しい，から。

よく他人を助けているのを，校内でも校外でも見かける。

点数稼ぎだとしても構わない。

他人に自分の時間をさいて，結果誰かが助かっているわけだから。

私も何度も助けられた。

長い時間雫を見てきた。

一緒にいて楽しいと思えるのは，雫が多少なりとも合わせてくれてるから。

偽りだけで毎日，それも一日中一緒にいることは出来ない。

ただ，会ったこともなかった私を利用しようとする程度に，お腹が黒いだけで。

だから，私は友達として雫と接する。

いつか心から友達と呼べるように。

少なくとも，私が嫌いになれるような人ではなかった。
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