臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「_プルゥゥゥゥール。プルルル,プル♪」

「うおっ」



夾くんのポッケのスマホから,けたましい着信音。

辺りの人は何事だと騒ぎ出す。

限りなく嫌そうに,一応と言う風に相手の名前を見た夾くん。

けれど,それを見た途端顔色を変えて,真剣な顔をする。



「すみません。なんか,珍しい相手からだったんで」



と断って,夾くんは出た。

いくつか相づちをうって,顔色を悪くした夾くんは「すぐ行きます」と言う。

そして私に何度も謝ると,本当に行ってしまった。

恐らく早退もしている。



「な,なんだったの」



周りにも同じ空気が漂い,取り残された私には沢山の視線が刺さった。
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