臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
そのまた次の日,私はいつもより多くの視線を受けながら,変わらずグランドに向かう。

すると,文字通りすっとんで来た夾くんがガバリと頭を下げる。



「や,え!??」

「昨日はすいませんっした。あと,言いづらいんですけど」

「な,何?」

「映画の件,取り消させて貰ってもいいっすか?!」



え!? 

急にどうしたんだろうと思いながらも,内容は私と同じ。

私は内心ちょっと喜んでいるのを悟られないように,うんと返した。



「実は俺,みおさんがちょータイプで」

「ふぇっ!?」

「好きになって,昨日告ろうと思ってたんです」

「へ,へぇ……?」



ど,どう答えるのが正解なんですか?

特に観客の中で一際笑っている礼夢くん。

隣の海くんも,この異質な状況に呆れている癖に,ちゃっかり肩を震わせている。
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