臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「なんで,下心込みの誘いは,無かったことにしてください」



また,ガバリ。

そんなに頭を下げられるとどうしていいか分からない。

頭を下げる男子とアワアワする女子。

周りから見た構図は,かなりヤバイ。



「っていうか,あの。下心があったの?」

「はい,好きだったんで。デートのつもりでした」

「そ,そうなんだ」



やっぱり,行かない方向で正解だったのかもしれない。

だって,この状況にも私は安心している。

私では,応えられないから。



「今度また別の映画誘うんで,そんとき行きましょう」



澪!と声を張る夾くん。

数分後,ざわついていた場所から嫌そうな澪が無理やり引っ張り出されてくる。


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