臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「だから,ま,ね。俺はもう知ってるから,いつでも話聞いてあげるってこと」

「礼夢,夾くんがだめだったから路線変えて攻めようとしてるの?」

「……どうして?」

「ちょっと澪……」



どうして,礼夢くんがそんなことを言い出すのか,私には分からない。

気付いたとしても,言いふらすつもりがないならただ静観していればいい。

何故そこで,私を気遣うような事を言うのだろう。

私は黙っていてくれればそれでいいのに。



「俺が出会った澪が澪で,そのお姉ちゃんが,他でもないみおちゃんだったから。なんか,部外者じゃいられない。手伝いはしないけど,助けてあげたいなって思ったんだよね」

「意味不明。澪,そろそろ澪くん助けてあげないと。ちょっと不敏」



雫が指指す方を向くと,ずっとそうだったのか,夾くんの惚気を聞かされていた。

私達は,笑いながら駆ける。

何故か礼夢くんも一緒に。
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