臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
____________________

最初のきっかけは,そう。

あなたにもう一度出会ったこと。

私が澪への気持ちに気付いた時,封印すると決めた時,その全てに君がいた。

そして私は,君の何もかもから目を背けて,あの日。

話があると切り出した君から,逃げ出した。

いつも私を見ていた,その真っ直ぐで優しい瞳から。

君の世界を映すその瞳の色が,変わっていると怖いから,私は今もまだ,逃げ続けている。

会いに来ない君に安堵して,消してしまった連絡先を探して。

忘れてくれてたら,そんな都合の良い夢を何度も見た。

けれど,君に限ってそれはないのだと,私は知っている。

私が1度でも好きだと思ったその瞳が,あの日々と変ってないことだけを,ただひたすらに祈っている。
____________________







< 88 / 262 >

この作品をシェア

pagetop