臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
「いくら入ってたのか分からないけど……個人情報とか入れてない? もしかしたら警察に届いてるかもだし,一緒に行く?」

「いえ,その辺は大丈夫です。すみません,自分でも行ってみます。どうせそんなに入って無いんで良いんですけど,せめてお兄ちゃんに電話する位はないと…自分じゃ思い付かなかったので,本当にありがとうございます」



びゃっと泣き出しそうな位頭を下げるその子に,私は考える。



「えっと…つまり? 帰れるだけのお金があれば良いって話だよね?」

「はい,なので…」

「警察にあるかも分からないし,バス代くらいあげるよ。そのまま帰ったらいいよ」



大して大事じゃないならそっちの方がいいに決まってる。
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