【完結】橘さんは殺された。
「もちろん出たさ。……だが確証はなかった。それに指紋なども拭き取られていたということを考えると、犯行は計画的犯行だと考えられる。 いきなり襲って殺したら、普通はどこかに指紋が残っているはずだろう?」
瀬野さんに言われて、確かにそうだ……と思った。
「指紋が残っていないとなると、証拠は少ない。目撃者もなければ、防犯カメラもない。 当時、捜査はかなり難航したことに間違いない」
……この犯行は、最初から橘さんを殺すつもりだったのか? 殺すつもりで狙っていたということなのか?
そうでなければ、この指紋が拭き取られていたという説明が付かない。 そもそも、なぜ橘さんだったのか……。
「あの体液を調べても、データベースには乗ってなかったんですよね?」
「そうだ。 ヒットする者は当時はいなかった」
「……そうですか」
二人犯行がいたとなると、考えられるのは怨恨の線だ。 だとしたら、彼女に恨みを持っていた人間が、共謀して殺した……?
「とりあえず、この近所で聞き込みしてみるか」
「はい」
俺は瀬野さんと一緒に近所に当時のことを知る人がいないか、聞き込みを始めた。
ーーーが。