【完結】橘さんは殺された。
④見えてきた真相
それから一週間後、女子高生殺害事件は解決を迎えた。 犯人は逮捕され、自らの犯行を自供した。
そして犯人は、検察へと起訴された。
瀬野さんの取調によると、犯人が犯行に及んだ理由は、被害者に交際を迫ったが断られたからだそうだ。
それに腹が立って犯人は、彼女を殺すことにしたと話していたそうだ。 被害者と犯人は出会い系サイトで知り合ったそうだが、被害者が急に会うことが出来ないと断ってきたことがきっかけのようだった。
それでしつこく被害者に交際を迫った、と言う訳だった。
そんな理由で、そんな理由で被害者を殺したのか……。
……そんなの、許せないな。
「藤嶺、どうした?湿気た顔して」
「……いえ、別に」
俺は橘さんのことを、ふと思い出していた。
橘さんは……今何を思っているのだろう。亡くなってしまった今、そんなのは分からないけど。
「亡くなった彼女のことでも、思い出してるのか?」
瀬野さんは俺の隣に座り、そう問いかけてくる。
「……そんなんじゃないですよ」
「なんだ、違うのか」
瀬野さんは少し残念そうな表情だった。
「……俺、言えなかったんです」
「ん?何をだ?」
「橘さんに、好きだって言えなかったんですよ。……遠くから見ているだけで。 それだけで良かったんです、あの時は」
そう言った俺に、瀬野さんはコーヒーを置いてくれた。