【完結】橘さんは殺された。
「事件の前の日、橘智夏のバイト先に不審な男が現れていたことが分かった」
「不審な男……?」
バイト先に不審な男? 誰だ、その男は……?
「防犯カメラの映像を手に入れてきた。見てみるか?」
「……はい。見せてください」
その防犯カメラの映像を見た俺は、驚いて声が出せなかった。
「この男だ」
「……え!?」
この人が不審な男……!?
まさか……まさか……!
「知ってるのか?藤嶺、この男を」
……そんな、そんな。まさか、そんなことがーーー。
「……先生です」
「え?」
「牧村……先生です」
その男は、当時数学の担当をしていた牧村先生だった。
なんで牧村先生が……? どうして橘さんのバイト先に……?
「牧村先生?」
「数学の、先生です……。当時の、数学の先生」
「なんだって?」
なんで牧村先生がこんな所に? ていうかここって……。
「瀬野さん、もしかしてここって……」
橘がバイトしてたのって、もしかしてーーー。
「……ああ、キャバクラだよ」
キャバクラ……。やはり橘さんのバイト先は……キャバクラだったのか。
「この映像からすると、牧村先生が……犯人?」
「その可能性は高いな」
「でもなんで……。橘さんはキャバクラなんかでバイトを?」