【完結】橘さんは殺された。
②未解決事件
「おーい、席に付け~。授業始めるぞ!」
橘さんの葬儀から、約二週間が経った。
「では今日は、教科書55ページから始めるぞ」
俺達はいつも通りの日常に戻った。
橘さんの座っていた席には、花が置かれていた。
橘さんが亡くなった事実は、本当にそこにあった。 未だに信じられないけど、これが現実だ。
「ではこの問いを……。藤嶺、解いてみろ」
「……はい」
先生に指名された俺は、黒板に問題の答えを書いていく。
「正解だ。よく出来たな」
「ありがとうございます」
これがいつも通りの風景、これがいつも通りの日常。 今までも何も変わらない。……そう、何も。
ただ一つ、橘さんが亡くなったという事実だけを除いてーーー。
気が付けば、それから二ヶ月が経っていた。
橘さんが楽しみにしていた文化祭も、無事に開催された。 橘さんもきっと、楽しみにしていたことだろう。
そして十二月、俺達は念願の冬休みになった。
未だに橘さんを殺した犯人は、見つかっていない。 警察の捜査では、あの林の近くには防犯カメラはなく、凶器も見つかっていないとのことだった。