【完結】橘さんは殺された。
「……は?」
お仕置き……? 何を言ってるだ、コイツは?
彼女の身体にあんなことをしておいて、お仕置きだと……?
意味が分からないことを言っている……。
「浅羽さん、あなた今……お仕置きって言いましたよね?」
「えぇ。……何かおかしいですか? 智夏には私だけだと、分からせてやっただけですが」
「あなた……どれだけ娘さんを傷付けたら気が済むんですか?」
彼女に何度も暴行を働き、そして彼女の人生をまるで支配していた。
父親という存在を、まるで違う赤の他人の人間だと彼女に植え付けた。
「智夏は悪いんですよ、刑事さん。 アイツが本当の父親に、このことを暴露すると言い出したもんでね。……黙ってると言えば、あんなことしなくて済んだんですけどね」
「……浅羽さん。あなたはどうして智夏さんを、殺したんですか?」
俺は怒りで胸がいっぱいになった。けど必死で堪えた。
刑事としての感情、そして愛した人への感情が混ざって複雑になっているのは間違いなかった。
「智夏が抵抗したからですよ。大人しくしてろと言ったのに、抵抗したから大人しくさせようと思って首を絞めただけです。……そしたら智夏は、息をしなくなった。 それで気付きました、智夏が死んだことを」
父親は事件の日のことを顔色を変えずに淡々と話していた。
でもその真実は思ってたよりも残酷でーーー。
「……それであなたは、指紋などをふき取って現場から立ち去ったんですか?」