【完結】橘さんは殺された。
「……瀬野さん、あの」
「ん?どうした?」
「あの、七年前に起きた女子高生の殺人事件って……覚えてますか?」
俺は瀬野さんに、そう聞いてみた。
「七年前……。ああ、未解決のあの事件か」
ブラックコーヒーを飲みながら、瀬野さんはタバコを吹かした。
「はい。あの事件の被害者の女子高生は……実は俺の同級生なんです」
「っ!……そうなのか?」
瀬野さんはタバコを灰皿に置いたまま、俺に問いかけてくる。
「はい。 殺された橘智夏は……俺の好きな人だったんです」
「好きな人……?」
「はい。……でも彼女は、ある日突然殺されてしまった」
橘がなぜ殺されなければならなかったのか、その理由はずっと分からないままだった。
結局犯人は捕まらず、事件は未解決のまま処理された。
「まさかお前が……同級生だったとはな」
「……俺は彼女が死んだ理由を。彼女を殺した犯人を捕まえるために、その真相を知るために刑事になりました」
そんな理由で刑事になったのかなんて言われる可能性もあった。
でもどうしても、許せなかったんだ。彼女を殺してのうのうと生きている犯人が……。