【完結】橘さんは殺された。


「……あの事件の資料なら保管庫に眠っているが、見てみるか?」

 瀬野さんはタバコの火を消すと、俺にそう問いかけてきた。

「……え?いいんですか?」 

「未解決事件とはいえ、まだ犯人は捕まってない。……自分の目で、あの日何があったのか確かめてみろ」

「……はい」

 俺は瀬野さんと一緒にすぐに保管庫へ行き、その時の資料を探した。

「あったぞ、藤嶺」

「本当ですか?」

 瀬野さんが当時の資料を見つけ出してくれた。

「これだ」

その資料に、俺はすぐに目を通した。

「……橘さん」

 資料の写真には、亡くなった状態の橘さんの写真が貼ってあった。
 写真の中の橘さんは、変わり果てた姿だった。

「……こんなだったのか」

 橘さんはこんな林の中で、こんな状態で殺されていたのか……。当時まだ高校生だった俺は、橘さんの死については何も知らなかった。
 ……今初めて、その資料に目を通した。

「……残酷だよな、こんな姿で殺されるなんて」

 瀬野さんは、悲しげにそう言っていた。

「……残酷すぎます。 くっそ……!」

 なんで、なんで橘は殺されたんだ。なんで……。

「橘さんは……。橘さんは殺された時、犯人から暴行を受けていたんですよね?」
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