1ページホラー夜の章
すりガラス
すりガラス

これは会社員のIさんが体験したお話です。

Iさんは入社して3年目。

会社に慣れてきて業務も増え、残業も増えてきました。

帰るのは2日に1回は23時頃帰宅していました。

そんなIさんの楽しみはお風呂でした。

家に帰って、様々な入浴剤を試すのが好きでした。

ある日クタクタで家に帰りお風呂を沸かしほとんど無意識にお風呂に入りました。

じんわりと身体が温まってくる感じが何よりも好きでした。

ふと入ってきたお風呂のドアを見ると、丸い2つの影が写っていました。

ん?

よく目を凝らすとそれは影というより白い顔のようで、2つこちらを覗くようにすりガラス越しにいました。

Iさんは泥坊かっと驚きましたが、身体が動きません。

恐怖で動かないというより、動かせないような……。

お風呂に入っているはずなのに体の芯が冷えています。

その顔は動かず、すりガラス越しにあります。

どの位経ったか。

Iさんはこのままではまずいという思いが強くなり、なんとか体を動かそうとしました。

動け動け動け……。

その思いが通じたのか腕がざばっとお湯を跳ねました。

跳ねたお湯はすりガラスにあたりました。

その瞬間2つの顔はガラスから離れて消えました。

Iさんは体が動くようになり、少しして部屋に戻りました。

どこにも人が入ってきた様子はありませんでした。

さっきかけたお湯。

これにはバスソルトが入っていました。

それが効いたのかはわかりませんが、それからしばらくバスソルトを中心に使っていたそうです。
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