1ページホラー夜の章
特技
特技
これは大学生のAさんが小学生の頃に体験した怖い話です。
Aさんは当時、特技を持っていました。
それは学校が終わり校門を一歩でも出ると、その日の夕飯がわかるというものでした。
校門を出るとふぅっと風に乗ってその日の夕飯の匂いが流れてくるからわかるそうです。
ある時はカレー、ある時は麻婆茄子、ある時は豚汁……。
最初は近くの家から匂いが流れて来てると思っていましたが、帰ると嗅いだものと同じものが出てきたので確信しました。
そんなAさんですが、校門を出ると強い鉄の匂いが鼻に付きました。
Aさんは「ん?」と思いました。
いつもはここで夕飯の匂いがするのに……。
鼻血が出たわけでもないので、とても怖くなりました。
Aさんはその日家の前の交差点で車に撥ねられました。
その結果Aさんは強く顔を打ち、それから鼻には人工の鼻骨を入れることになりました。
その時から夕飯の匂いを感じなくなったそうです。