リスタート
『時空を越えるので、はぐれると危ないんです。
もし、時空の狭間に落ちると戻ってこれなくなりますよ』

そう、真面目な顔して言ったかと思えば、肩を震わせて笑うニコラ。

「なにがおかしいの?」

気を取り直すようにゴホンと軽く咳払いをすると──

『確かに、時空を越えるときに誤って落ちてしまうと、戻って来れなくなるってイメージがありますよね……』

困ったような表情でそう言った。
続けて──

『ですが、その心配はないので大丈夫ですよ。
僕が一緒ですから』

──‼︎

その笑顔に、一瞬胸がドキっと高鳴る。

『“唯さん”、どんな反応するかなぁ?ってちょっとだけからかっちゃいました。』

そう言って、彼はいたずらっ子のように笑った。

笑顔にドキっとしたこと、わたしの名前を呼んでくれてうれしかったこと、意外と子どもっぽいところがあるんだって思ったのは内緒にしよう。
< 9 / 25 >

この作品をシェア

pagetop