【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「ごめんね、大きな声を出して」
寝ぼけていることもあり、大きな声を出さずに、アンネをなんとか宥めようと背中をさする。
なかなか泣き止まないアンネに困っていると、横から手が伸びてきてアンネの位置が高くなる。

殿下がアンネを抱き上げたことに気づき、私は目を見開く。

「奪わないでください。アンネだけが私の生きがい……」

「フェリーネ」
今までの低い声ではなく、二年前私を優しく呼ぶ声がして、私は言葉を止めた。

「フェリーネ、約束する。絶対に俺はフェリーネからアンネを奪ったりしない。俺が不甲斐ないために辛い思いをさせて本当にすまなかった」

真摯に謝られ、私は何を言えばいいかわからない。

いつの間にか殿下の腕の中でアンネが寝息を立てている。

「かわいいな」
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