【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
心からの言葉に聞こえ、私はただ茫然と殿下を見つめていた。

「フェリーネ、アンネは俺の子だな?」
きっとこの時点で彼は確信しているのだろう。それでも尋ねる彼に、自嘲気味な笑みがこぼれた。
もうごまかすことができない。私は小さくうなずいた。

「一人でよく産み育ててくれた。ありがとう」

その言葉と同時に、私の瞳からは大粒の涙が流れ落ちた。

伝えられたことが嬉しいのか、不安なのか、何がなんだかわからない。

ソフィーとの結婚のことも、アンネのこれからのことも、聞きたいことは山のようにあるのに、今は何も言えなかった。

ただ、愛しそうにアンネを抱いてくれるその人の姿を見ていたかった。
そんなことを思う私はやはり愚かなのかもしれない。



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